決算書のドラフトを見ていて、「この科目は独立掲記でよいのでしょうか」「去年はその他に入れていたのに、今年は別出しだと言われました」という確認が入ることがあります。掲記という言葉自体は財務諸表等規則の条文で使われているものですが、日常の会話ではあまり出てこないため、独立掲記・区分掲記・一括掲記といった言い方が混ざって、何が求められているのか分かりにくくなりがちです。
この記事では、掲記という語が財務諸表等規則(以下「財規」といいます)でどう使われているかを条文で確認したうえで、貸借対照表側の100分の5基準と損益計算書側の100分の10基準を整理します。あわせて、掲記を変えたときに表示方法の変更として何をしなければならないかまでをつなげて説明します。
- 掲記という語の意味と、財規の条文での使われ方
- 独立掲記・区分掲記・一括掲記という言い方が条文上の用語かどうか
- 貸借対照表で100分の5基準が働く3か所(財規19条・33条・50条)
- 損益計算書で100分の10基準が働く4区分(財規90条・93条・95条の2・95条の3)
- 自作の数値例による、どの科目が独立掲記になるかの判定
- 掲記を変えたときに必要になる組替えと注記(財規8条の3の4)
この記事の見出し
📌 結論 掲記とは科目として表に出すこと、論点はどこまで細かく出すか
掲記(けいき)とは、財務諸表においてある項目を科目として記載することをいいます。財規の条文は、たとえば「当該資産を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない」という言い回しを繰り返し使っており、記載する・表示するとほぼ同じ意味で読んで差し支えありません。
実務で問題になるのは、掲記するかどうかではなく、どこまで細かく掲記するかです。財規は、まず区分ごとに名称を挙げた項目を並べ、それに当てはまらないものを「その他」で受ける構造になっています。そのうえで、「その他」に入れたままにしてよいかどうかを金額基準で切っています。この線が、貸借対照表側は100分の5、損益計算書側は100分の10です。
財規は、名称を挙げた項目を原則として個別に掲記させたうえで、金額の小さいものだけ「その他」への一括を許す作りになっています。
掲記の考え方そのものは、過年度遡及会計基準とはで扱う会計上の変更の話とつながっています。表示だけを変えたつもりが遡及処理の手続に入る、というのが実務でいちばん多い引っかかりどころです。
したがって、掲記についての質問はほとんどの場合、次の3つのどれかに翻訳できます。第一に、この項目は財規が名称を挙げている項目に当たるか。第二に、当たらないとして金額基準を超えているか。第三に、去年と扱いを変えるなら比較年度をどう直すか。以下、この順に見ていきます。
📄 掲記という言葉の意味と、条文での使われ方
条文が使うのは掲記という語だけ
財規の表示規定を読むと、掲記という語が繰り返し出てきます。たとえば流動資産については、財規17条1項が「流動資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない」と定め、現金及び預金(1号)から始まり、その他(12号)で終わる区分を置いています。契約資産は3号の2として途中に入っています。
そのうえで同条2項は、「前項の規定は、同項各号の項目に属する資産で、別に表示することが適当であると認められるものについて、当該資産を示す名称を付した科目をもつて別に掲記することを妨げない」としています。つまり、財規が挙げた区分よりも細かく出すこと自体は禁じられていません。
独立掲記・区分掲記・一括掲記は実務の言い方
ここで注意したいのは、独立掲記や区分掲記という熟語が条文の用語ではないという点です。今回内容を確認した表示規定(財規17条・19条・20条・32条・33条・49条・50条・90条・93条・95条の2・95条の3)では、いずれも掲記という語が単独で使われており、独立掲記や区分掲記という言い方は出てきません。条文は「名称を付した科目をもつて掲記しなければならない」と「一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる」という2つの型で書き分けています。
| 実務での言い方 | 条文での書き方 | 意味 |
|---|---|---|
| 独立掲記 | 当該資産(負債・収益・費用)を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない/別に掲記することを妨げない | 他の科目に含めず、その項目だけの科目名で表に出すこと |
| 区分掲記 | 次に掲げる項目の区分に従い掲記しなければならない | 財規が定める区分ごとに分けて出すこと。条文上の定義語ではない |
| 一括掲記 | 一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる | 金額の小さいものをまとめて「その他」などの科目で出すこと |
言い方が揃っていないだけで、指しているものは同じです。社内で議論するときは、どの科目を、どの区分の中で、独立させるのかまとめるのか、という形に言い換えると話が早く進みます。
「その他」という受け皿がどこに置かれているか
金額基準の話に入る前に、そもそも「その他」がどの号に置かれているかを押さえておくと、条文を追いやすくなります。財規は区分ごとに末尾の号を「その他」としており、金額基準の規定はこの号を名指しして書かれています。
| 区分 | 「その他」の位置 | 金額基準を定める条 |
|---|---|---|
| 流動資産 | 財規17条1項12号 | 財規19条 |
| 投資その他の資産 | 財規32条1項15号 | 財規33条 |
| 流動負債 | 財規49条1項14号 | 財規50条 |
条文を引くときは、まず金額基準の条(19条・33条・50条)を開き、そこが名指ししている号をたどって区分の規定に戻る、という順番が読みやすいと思います。
📊 貸借対照表側の100分の5基準 その他から独立させる線
3か所で同じ形の規定が置かれている
財規は、貸借対照表の「その他」について、同じ形の規定を3か所に置いています。いずれも、その他に属する資産や負債のうち一定の金額を超えるものは、名称を付した科目で掲記しなければならない、という書き方です。
分母が区分ごとの合計ではなく総額である点に注意します。流動負債だけは負債と純資産の合計が分母になります。
財規19条は、財規17条1項12号(流動資産のその他)に属する資産のうち、未収収益、短期貸付金(金融手形を含みます)、株主・役員若しくは従業員に対する短期債権又はその他の資産で、その金額が資産の総額の100分の5を超えるものについて、当該資産を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならないとしています。
財規33条は、投資その他の資産について同じ構造をとっています。財規32条1項15号(その他)の資産のうち、投資不動産(投資の目的で所有する土地、建物その他の不動産をいいます)、一年内に期限の到来しない預金又はその他の資産で、その金額が資産の総額の100分の5を超えるものを、名称を付した科目で掲記させます。
負債側は財規50条です。財規49条1項14号(流動負債のその他)に属する負債のうち、株主・役員若しくは従業員からの短期借入金等の短期債務又はその他の負債で、その金額が負債及び純資産の合計額の100分の5を超えるものが対象になります。
分母を取り違えないこと
実務でつまずきやすいのが分母です。資産側は流動資産合計ではなく資産の総額、負債側は流動負債合計ではなく負債及び純資産の合計額が分母になります。区分ごとの小計を分母にすると基準を超える科目が増えすぎるので、判定表を作るときはこの点を最初に固定しておくと安全です。
使用権資産の掲記 新リース会計基準で増えた論点
新リース会計基準そのものの全体像は新リース会計基準 完全ガイドにまとめています。
財規32条1項は、投資その他の資産の区分に使用権資産(対応する原資産が同項15号に掲げるものである場合に限ります)を14号として置いています。そのうえで同条3項は、この14号に属する資産を15号(その他)に含めて表示することができるとしています。新リース会計基準の適用に伴い使用権資産が立ち上がる会社では、この項目をどの区分に置き、独立させるかまとめるかを決める必要が出てきます。
💰 損益計算書側の100分の10基準 その他に一括できる上限
4つの区分に同じただし書きが置かれている
損益計算書側は、営業外収益・営業外費用・特別利益・特別損失の4区分に、同じ形のただし書きが置かれています。本文で名称を挙げた項目の区分に従って掲記させたうえで、各項目のうちその金額がその区分の総額の100分の10以下のもので一括して表示することが適当であると認められるものについては、一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる、という形です。
いずれも、その区分の総額の100分の10以下で一括表示が適当と認められるものに限って一括掲記ができます。
財規90条は営業外収益について、受取利息、有価証券利息、受取配当金、有価証券売却益、仕入割引その他の項目の区分に従って掲記させます。財規95条の2は特別利益について固定資産売却益と負ののれん発生益を、財規95条の3は特別損失について固定資産売却損、減損損失、災害による損失を、それぞれ名称のある項目として挙げています。
営業外費用にはリース負債に係る利息費用が入っている
財規93条1項が挙げる営業外費用の項目には、支払利息、リース負債に係る利息費用、社債利息、社債発行費償却、創立費償却、開業費償却、貸倒引当金繰入額又は貸倒損失(財規87条の規定により販売費として記載されるものを除きます)、有価証券売却損が並びます。
このうちリース負債に係る利息費用については、同条2項に特則があります。同項に規定する他の項目に属する費用に含めて表示することができるとしたうえで、その場合には当該利息費用が含まれる科目及び当該利息費用の金額を注記しなければならないとしています。支払利息に含めて出す場合でも、金額の開示からは逃げられないという作りです。
自作の数値例で見る
営業外収益の総額を500とした会社を考えます。100分の10は50です。
| 項目 | 金額 | 総額比 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 為替差益 | 300 | 60.0% | 100分の10を超えるので一括できない |
| 受取家賃 | 60 | 12.0% | 100分の10を超えるので一括できない |
| 保険解約返戻金 | 46 | 9.2% | 一括表示が適当と認められれば一括できる |
| 助成金収入 | 40 | 8.0% | 同上 |
| 受取配当金 | 6 | 1.2% | 条文が名称を挙げている項目 |
| 受取利息 | 8 | 1.6% | 条文が名称を挙げている項目 |
| 雑収入 | 40 | 8.0% | 一括科目として残す |
単位は百万円。すべて説明のための架空の数値です。
為替差益と受取家賃は100分の10を超えているため、一括の対象にできません。保険解約返戻金と助成金収入は基準以下ですが、一括して表示することが適当であると認められる場合に限って一括できるという書き方なので、金額基準を満たせば自動的にまとめてよいわけではありません。内容が特殊で読み手の理解に影響するものは、基準以下でも独立させる判断があり得ます。
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🧾 引当金の掲記 控除科目としてどう出すか
流動資産に係る引当金については、財規20条が別の形で掲記を求めています。原則は、当該各資産科目に対する控除科目として、当該各資産科目別に、貸倒引当金その他当該引当金の設定目的を示す名称を付した科目をもつて掲記する方法です。
そのうえで、引当金を各資産科目に対する控除科目として一括して掲記する方法と、引当金を各資産の金額から直接控除し、その控除残高を資産の金額として表示する方法も認められています。後者による場合には、当該引当金を当該各資産科目別に又は一括して注記しなければなりません。ただし、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合には、この注記は要しないとされています。
資産の総額を12,000とした場合の例です。100分の5は600なので、短期貸付金だけが線を越えます。単位は百万円。
図4は、資産の総額を12,000とした会社で、流動資産の「その他」1,100の内訳を並べたものです。100分の5は600ですから、短期貸付金640だけが線を越えます。この場合、短期貸付金を独立した科目として掲記し、残りの460を「その他」としてまとめることになります。
⚖️ 掲記を変えたときは表示方法の変更になる
会計処理を変えていなくても手続が生じる
ある科目が金額基準を超えたので今期から独立掲記に変えた、あるいは基準を下回ったので「その他」に戻した、という場面を考えます。認識も測定も何ひとつ変えていませんが、財務諸表の科目分類が変わっているため、これは表示方法の変更にあたります。
掲記の変更は表示だけの話に見えますが、比較年度の組替えと注記までが一続きの手続になります。
表示方法の変更を行った場合には、財規8条の3の4により、財務諸表の組替えの内容、財務諸表の組替えを行った理由、財務諸表の主な項目に係る前事業年度における金額を注記しなければなりません。財務諸表の組替えが実務上不可能な場合には、その理由を注記します。重要性が乏しい場合には注記を省略することができ、連結財務諸表において同一の内容が記載される場合には、その旨を記載することで記載を省略できます。
先に決めておくと後がラクなこと
なお、遡及適用・財務諸表の組替え・修正再表示という3つの処理の違いは、遡及修正とはで整理しています。掲記の変更で必要になるのはこのうち財務諸表の組替えだけで、期首の利益剰余金は動きません。会計方針を変えたときに動く累積的影響額とは別の話になります。
掲記の変更は決算の終盤に見つかることが多く、そこから比較年度の組替えに入ると時間が足りなくなります。四半期のうちに、金額基準を超えそうな科目を洗い出しておくと安全です。具体的には、前期末に「その他」に入れていた項目のうち、当期の残高が総額の4%を超えているものを一覧にしておくと、期末での慌てが減ります。
- 「その他」の内訳表を、貸借対照表・損益計算書の区分ごとに作っているか
- 分母を、資産の総額(負債側は負債及び純資産の合計額、損益計算書はその区分の総額)で固定しているか
- 基準を超えた科目について、独立掲記に変える判断を誰がいつ行うかを決めているか
- 前期の数値を組み替えられる形でデータを保持しているか
- 組替えの理由を、監査法人に説明できる文章で残しているか
🧭 掲記でつまずきやすい3つの誤解
誤解1 分母は区分の小計だと思っている
いちばん多い取り違えがこれです。財規19条と33条の分母は資産の総額であり、流動資産合計でも投資その他の資産合計でもありません。財規50条の分母は負債及び純資産の合計額で、流動負債合計ではありません。分母を小さく取ると比率が跳ね上がり、本来は「その他」に入れてよい科目まで独立掲記の候補に挙がってしまいます。逆に損益計算書側は、財規90条・93条・95条の2・95条の3のいずれもその区分の総額が分母なので、こちらは区分ごとに分母が変わります。貸借対照表と損益計算書で分母の取り方が逆になっている、と覚えておくと間違えにくくなります。
誤解2 基準以下なら必ずまとめなければならないと思っている
条文の書き方は「一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる」であって、しなければならない、ではありません。しかも、一括して表示することが適当であると認められるもの、という限定が付いています。金額が小さくても内容が特殊で、読み手の理解に影響する項目は、独立させる判断があり得ます。貸借対照表側も、財規17条2項が別に掲記することを妨げないとしているので、基準以下の項目を独立させること自体は禁じられていません。
誤解3 掲記を変えても注記は要らないと思っている
会計処理を変えていないのだから注記も要らないだろう、という発想でそのまま出してしまう例があります。財規8条の3の4は、表示方法の変更を行った場合に、組替えの内容、組替えを行った理由、主な項目に係る前事業年度における金額の注記を求めています。重要性が乏しい場合には省略できますが、重要性が乏しいと判断した根拠は残しておく必要があります。金額基準を超えたために独立掲記に変えたのであれば、その金額は総額の100分の5を超えているわけで、重要性が乏しいという整理とは相性がよくありません。
🗒️ 特別損益の数値例と、判断を記録に残すこと
特別損失の一括判定は毎期ぶれやすい
特別損益は金額の振れが大きいため、同じ項目でも期によって独立掲記になったりならなかったりします。特別損失の総額を200とした例で見てみます。100分の10は20です。
| 項目 | 金額 | 総額比 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 減損損失 | 120 | 60.0% | 条文が名称を挙げている項目。独立掲記 |
| 固定資産除却損 | 38 | 19.0% | 100分の10を超えるので一括できない |
| 災害による損失 | 22 | 11.0% | 100分の10を超えるので一括できない |
| 訴訟関連費用 | 12 | 6.0% | 一括表示が適当と認められれば一括できる |
| その他 | 8 | 4.0% | 一括科目として残す |
単位は百万円。すべて説明のための架空の数値です。
ここで注意したいのは、翌期に特別損失の総額が小さくなると、同じ12の訴訟関連費用が100分の10を超えて独立掲記になり得るという点です。金額そのものは変わっていないのに扱いが変わるため、比較年度の組替えが必要になります。特別損益は分母が毎期大きく動くので、他の区分より判定表を丁寧に残しておく価値があります。
監査法人に説明できる形で残す
掲記の判定は、後から見ると何を根拠にそう決めたのかが分かりにくくなりがちです。監査の現場で聞かれるのは、分母に何を使ったか、基準以下なのに独立させた(あるいは基準以下だから一括した)判断の理由は何か、前期と扱いを変えた項目はどれか、の3点であることが多いと思います。
| 残しておくもの | 具体的な中身 |
|---|---|
| 判定表 | 区分ごとの「その他」の内訳、分母、比率、結論を1枚にしたもの |
| 分母の定義 | 資産の総額なのか区分の小計なのかを明記したメモ |
| 前期との差分 | 扱いを変えた項目と、その理由 |
| 組替え前後の対応表 | 前期の科目と当期の科目のひも付け |
このうち組替え前後の対応表は、注記に書く「主な項目に係る前事業年度における金額」の裏づけにもなります。表示方法の変更と財務諸表の組替えで、組替えの範囲と注記の作り方をより詳しく整理しています。
区分ごとの「その他」の内訳と当期末の総額をお送りいただければ、独立掲記に切り替わる科目がどれか、比較年度の組替えがどこまで必要になるかを判定してお返しします。期末に見つけると組替えの時間が取れなくなるため、四半期のうちに当たりを付けておくのが安全です。初回のご相談は無料です。
❓ よくある質問
A. 意味としてはほぼ同じです。財規の条文が掲記という語を使っているため、開示の実務ではそれに合わせて掲記と呼んでいる、という関係にあります。社内文書で表示や記載と書いても意味は通じます。
A. 今回内容を確認した財規の表示規定には、独立掲記や区分掲記という熟語は出てきません。条文は「名称を付した科目をもつて掲記しなければならない」と「一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる」という書き分けをしています。独立掲記はこの前者を指す実務の言い方です。
A. 財規19条・33条・50条はいずれも掲記しなければならないという書き方なので、対象となる項目が基準を超えた場合には独立させることになります。逆に基準以下であっても、財規17条2項が別に掲記することを妨げないとしているため、独立させること自体は妨げられません。
A. 表示方法の変更として、比較情報である前期の財務諸表を組み替えます。あわせて、組替えの内容と理由、前事業年度における主な項目の金額を注記します(財規8条の3の4)。重要性が乏しい場合には注記を省略できます。
A. 戻すこと自体は妨げられませんが、戻す場合も表示方法の変更として比較年度の組替えと注記が必要になります。毎期の増減で行ったり来たりすると読み手が比較しにくくなるため、社内で方針を決めておくのが実務的です。
A. 財規93条1項は営業外費用の項目としてリース負債に係る利息費用を挙げていますが、同条2項により、他の項目に属する費用に含めて表示することができます。その場合には、当該利息費用が含まれる科目と金額を注記しなければなりません。
A. ここで見てきたのは財務諸表等規則で、金融商品取引法に基づく財務諸表の作成方法を定めたものです。会社法の計算書類は会社計算規則によりますので、財規の金額基準をそのまま当てはめることはできません。両方を作成する会社では、どちらの規則に基づく書類かを確認したうえで判断してください。
📄 まとめ
掲記とは、財務諸表においてある項目を科目として表に出すことをいいます。財規は区分ごとに名称のある項目を並べ、それに当てはまらないものを「その他」で受けたうえで、金額の大きいものは「その他」から独立させるという構造をとっています。
線は2本です。貸借対照表側は資産の総額(流動負債は負債及び純資産の合計額)の100分の5で、財規19条・33条・50条の3か所に置かれています。損益計算書側はその区分の総額の100分の10で、財規90条・93条・95条の2・95条の3の4区分に置かれています。分母を区分の小計と取り違えないことが、判定表を作るうえでの最初の分かれ目になります。
そして、掲記を変えたときには表示方法の変更として比較年度の組替えと注記(財規8条の3の4)が続きます。決算の終盤に見つけると時間が足りなくなるため、「その他」の内訳表を四半期のうちに作っておくことをおすすめします。
📚 参考(公的な一次情報)
- 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)17条・19条・20条・32条・33条・49条・50条・90条・93条・95条の2・95条の3・8条の3の4
- 企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」
区分ごとの「その他」の洗い出しから、独立掲記に切り替わる科目の特定、比較年度の組替え、注記案の作成、監査法人への説明資料づくりまで、公認会計士が実際に手を動かして対応します。まずは現状の内訳表をお送りください。
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