結論 株価算定の費用は「何のために、どの手法で、どの規模の会社を、いつまでに評価するか」で決まります。公表された相場の統計はないため、複数の見積りを同じ条件で比べることが大切です。
- 当事務所の株価算定は一括30万〜80万円(税別)、期間は2〜6週間が目安です。算定手法の数と対象会社の規模で変わります。
- 費用を大きく動かすのは、目的(M&A・増資・ストックオプション・相続/贈与・税務・裁判)、評価手法の数、事業計画の有無と精度、納期、裁判対応の有無です。
- 税務上の時価と、M&Aで交渉して決める価格は考え方が異なります。目的を最初に伝えないと、使えない算定書になるおそれがあります。
- 見積りでは、目的・評価基準日・手法・成果物・前提条件・追加費用の条件を書面で確認します。初回相談と見積りは無料です。
未上場会社の株式には市場価格がありません。そのため、M&Aでの売買、第三者割当増資、ストックオプションの発行、相続や贈与、親族や役員との株式の移動などの場面で、価格の根拠を別に用意する必要があります。その根拠となるのが株価算定(株式価値評価)です。
この記事は、株価算定を外部に依頼しようとしている方に向けて、費用と期間の目安、費用が変わる要因、依頼先の違い、見積りで確認することを整理したものです。評価手法そのものの解説は企業価値評価(バリュエーション)とは?手法と進め方の全体像に、算定書の読み方は株価算定書の構成と読み方にまとめています。
この記事の見出し
株価算定の費用はいくら?当事務所の目安と「相場」が示しにくい理由
株価算定の費用について、業界全体の相場を示す公的な統計は見当たりません。各社が公表している料金も、評価の目的、使う手法の数、報告書の厚み、交渉や説明への同席の有無といった前提が揃っていないため、金額だけを並べて比べることは難しいのが実情です。
そこでこの記事では、他社の金額は挙げず、当事務所の料金と、その金額が上下する理由を示します。当事務所の料金は次のとおりです(料金の目安ページとM&A支援業務ページの記載にもとづきます)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 一括30万〜80万円(税別) |
| 期間 | 2〜6週間 |
| 金額が変わる主な要素 | 算定手法の数、対象会社の規模 |
| 対応する主な手法 | DCF法、類似会社比較法、純資産法など |
| 主な成果物 | 株価算定報告書、算定モデル、感応度分析資料、交渉用の説明資料 |
| 相談・見積り | 初回相談は無料。範囲と金額の提示までは費用はかかりません |
一括料金は、成果物を1つ納めるまでを1件として計算します。提示した範囲を超える作業が必要になった場合は、作業を進める前にご相談します。金額は目安で、対象会社の規模や資料の整備状況、期限の余裕などを伺ってから見積書を出します。
自社に当てはめるとどうなるか、個別にお答えします
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株価算定の費用が変わる要因は何か
同じ「株価算定」でも、作業量は大きく違います。見積りの金額に差が出る主な要因を整理すると、次の表のとおりです。
| 要因 | 費用が抑えやすい場合 | 費用が増えやすい場合 |
|---|---|---|
| 目的 | 社内の検討用、取引条件がほぼ固まっている譲渡 | 相手方との価格交渉、株主間で利害が対立する取引、裁判 |
| 評価手法の数 | 1つの手法で足りる場合(例:資産中心の会社の純資産法) | DCF法・類似会社比較法・純資産法を併用し、結果をレンジで示す場合 |
| 会社の規模・構造 | 単体で事業が1つ | 子会社や複数事業があり、事業ごとに評価する場合 |
| 事業計画の有無と精度 | 3〜5年程度の計画があり、前提を説明できる | 計画がない、または実績から大きく離れていて検証や作り直しが必要 |
| 資産・資本の内容 | 非事業資産が少なく、普通株式のみ | 不動産・有価証券の時価評価が必要、種類株式や新株予約権がある |
| 納期 | 評価基準日から余裕がある | 取締役会や契約日が迫っており、短期間で仕上げる |
| 報告後の対応 | 算定書の提出で完了 | 相手方への説明、反論への回答、裁判での意見書作成 |
このうち費用への影響が特に大きいのは、手法の数と事業計画です。DCF法は将来のキャッシュ・フローを前提にするため、事業計画の成長率や利益率が実績と比べて妥当かを確かめる工程に時間がかかります。計画の検証の考え方は事業計画の検証|バリュエーションの前提をどう確かめるかで解説しています。
種類株式がある場合は、残余財産の優先分配などを反映して普通株式と分けて評価することがあり、作業が増えます(種類株式・優先株式の価値評価)。
目的によって株価算定はどう変わるか|M&A・増資・SO・相続/贈与・税務・裁判
株価算定は、目的が変わると「どの価格を求めるのか」が変わります。日本公認会計士協会の「企業価値評価ガイドライン」も、評価目的として株式の譲受・譲渡や合併などの取引目的、買取価格や売買価格の決定などの裁判目的、課税目的などを挙げています。ただし、財産評価基本通達による評価は課税目的であるとして、ガイドラインでは詳しく扱っていません。
| 目的 | 求める価格の性格 | よく使う手法・基準 | 費用・期間への影響 |
|---|---|---|---|
| M&A(売手・買手) | 交渉の出発点となる価値と、その幅 | DCF法、類似会社比較法、時価純資産法の併用 | 手法の併用と感応度分析で作業が増えやすい |
| 第三者割当増資(IPO準備を含む) | 発行価格の合理性を説明できる価格 | DCF法、類似上場会社法、純資産法の併用。税務上の時価との関係も確認 | 直近の株式取引との整合の説明が必要になることがある |
| ストックオプション(SO) | 行使価額の基礎となる株式の価値と、オプションの公正な評価単価 | 株式価値の算定とオプション価格算定モデル | 株式価値に加えてオプションの評価が必要になる |
| 相続・贈与 | 相続税・贈与税の計算に使う評価額 | 財産評価基本通達(類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式) | 株主構成と会社規模の判定、通達に沿った計算が中心 |
| 法人間・個人と法人の売買など税務 | 課税上問題にならない時価 | 法人税基本通達9-1-13・9-1-14、所得税基本通達59-6などの取扱い | 取引の当事者ごとに課税関係を確認する |
| 裁判(売買価格決定など) | 裁判所が判断の参考にする価格 | 事案に応じた手法。ガイドラインでは裁判所の命令による業務を「鑑定」と区分 | 意見書や反論への対応で期間・費用とも増えやすい |
たとえば、譲渡制限株式の譲渡承認請求で会社と株主の協議が整わない場合、会社法第144条により、買取りの通知から20日以内に裁判所に売買価格の決定を申し立てることができ、裁判所は譲渡等承認請求の時における会社の資産状態その他一切の事情を考慮して価格を決めます。こうした場面では、算定の前提を第三者に説明し続ける必要があるため、通常の算定とは別の見積りになるのが一般的です。
ストックオプションの評価はストックオプションの評価|行使価額の決め方と公正な評価単価、資金調達ラウンドの株価は資金調達ラウンドのバリュエーションで詳しく扱っています。
税務上の時価とM&Aの価格はどう違うのか
株価算定を依頼するときに混同しやすいのが、「税務上の時価」と「会計やM&Aで使う価格」です。両者は目的が違うため、同じ会社でも金額が一致するとは限りません。
- 税務上の時価:課税の公平のために、通達などで評価の手順が定められています。相続や贈与では、国税庁の財産評価基本通達により、同族株主等が取得した株式は会社規模に応じて類似業種比準方式や純資産価額方式で、同族株主以外の株主が取得した株式は配当還元方式で評価します。法人税では、法人税基本通達9-1-13・9-1-14に、市場価格のない株式の価額の考え方と、一定の条件のもとで財産評価基本通達の例によることを認める取扱いが定められています。個人が法人などに株式を譲渡・贈与する場合は、所得税基本通達59-6に同様の取扱いがあります。
- M&Aなどで使う価格:当事者が交渉して決める価格です。将来の収益力を反映するDCF法や、類似上場会社の倍率を使う方法を併用し、価値に幅(レンジ)を持たせて示すのが一般的です。最終的な譲渡価格は、算定結果をもとに、ネットデットや運転資本の調整、交渉を経て決まります(M&Aで株式価値から譲渡価格を決める)。
実務で問題になりやすいのは、M&Aや親族間の売買で決めた価格が、税務上の時価から大きく離れている場合です。取引の当事者が個人か法人かによって、受贈益や寄附金、贈与税などの課税関係が生じることがあります。上場準備中の増資や株式の移動で、どの価格を使えばよいかは上場前の株価の決め方|第三者割当増資の発行価格と税務上の時価で解説しています。
依頼の段階で「税務上の時価も確認したい」のか「交渉の材料がほしい」のかを伝えれば、必要な手法と成果物を最初から組み込めます。後から目的を追加すると、作り直しで費用と期間が増えることがあります。
読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか
いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。
初回のご相談は無料です。お問い合わせはこちら / M&A支援・株価算定を見る
株価算定はどこに依頼する?監査法人系・FAS・独立系会計士・税理士の違い
株価算定の依頼先には、大きく分けて次のような選択肢があります。どこが優れているというより、目的と取引の規模に合うかどうかで選ぶのが現実的です。
| 依頼先 | 向いている場面 | 確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| 監査法人グループのアドバイザリー部門・法人 | 大規模な取引、上場会社が当事者の取引、海外を含む案件 | 自社や相手方の監査人と同じグループの場合、独立性の規制により受けられない業務や制約がないか |
| FAS(財務アドバイザリー会社) | デューデリジェンスや交渉支援とあわせて一体で進めたい案件 | 算定だけを依頼できるか、アドバイザーとしての立場と算定人としての立場の関係 |
| 独立系の公認会計士事務所 | 中小・中堅企業のM&A、増資、SO、株式の移動など | 担当者が実際に算定するか、税務上の時価まで一緒に確認できるか |
| 税理士事務所 | 相続・贈与、親族や役員との売買など税務目的の評価 | M&Aの交渉や増資の説明にも使える算定が必要な場合の対応範囲 |
監査法人とその関係法人については、公認会計士法により、大会社等から財務書類の調製など一定の非監査証明業務で継続的な報酬を受けている場合、その会社の監査をすることができないとされています。株価算定がどこまで制約を受けるかは案件によりますが、自社の監査人のグループに依頼する場合は、あらかじめ独立性の確認が必要です。
また、企業価値評価ガイドラインは、評価人に独立性・中立性が求められること、その基準は監査上の独立性とは異なり業務の内容や立場によって変わることを示しています。M&Aの相手方と利害関係がないか、成功報酬など算定結果に影響しうる報酬体系になっていないかも確認しておくと安心です。
当事務所は公認会計士・税理士の事務所として、M&Aや増資で使う算定と、税務上の時価の確認を同じ担当者が見られる点を特徴としています。
株価算定の見積りで確認すること
見積りを複数取る場合は、金額だけでなく、次の項目が同じ条件になっているかを確かめてください。条件が違えば、金額の差は単純に比べられません。
- 目的と利用先:M&A、増資、SO、相続・贈与、税務、裁判のどれか。算定書を誰に見せるか(相手方、取締役会、税務署、裁判所など)。
- 評価基準日と対象:基準日はいつか。普通株式か種類株式か、何株を対象とするか、支配権の有無をどう扱うか。
- 評価手法:どの手法を使い、結果を単独で示すのか併用してレンジで示すのか。
- 成果物の範囲:算定書のほかに、算定モデル(Excel)、感応度分析、説明資料が含まれるか。
- 報告後の対応:相手方への説明、質問への回答、修正の回数がどこまで料金に含まれるか。
- 追加費用の条件:基準日の変更、事業計画の差し替え、追加の手法などが生じたときの扱い。
- 前提条件と利用の制限:提供した資料の正確性を検証するか、算定書を目的外に使えるか。
- 担当者と納期:実際に算定する担当者、ドラフトと最終版の日程。
算定書を受け取った後に何を確認すべきかは、株価算定書の構成と読み方で詳しく説明しています。
依頼の流れと期間|2〜6週間で何をするか
当事務所での一般的な流れは次のとおりです。ご契約までの手順はご契約の流れページでもご案内しています。
- 初回相談(無料):目的、評価基準日、取引の予定時期を伺います。
- お見積り(無料):必要な手法と成果物を決め、金額と日程を提示します。
- 資料の受領と質問:決算書や事業計画を受け取り、前提について質問します。
- 事業計画の検証と算定:計画の前提を実績や外部情報と照らし、算定と感応度分析を行います。
- ドラフトの説明と最終版の提出:結果と前提をご説明し、算定書を提出します。
主にご用意いただく資料は、対象会社の決算書(直近数期分)と税務申告書、事業計画、株主名簿、新株予約権の明細、不動産や有価証券の時価がわかる資料などです。M&Aの場合はデューデリジェンスの結果も使います。期間が延びやすいのは事業計画の検証で、資料が揃っていれば2〜3週間程度で終わる案件もあります。
よくある質問
株価算定の費用は、会社の規模が小さければ安くなりますか。
規模は要因の一つですが、それだけでは決まりません。小さな会社でも、種類株式がある、事業計画を検証し直す必要がある、相手方との交渉に使うといった場合は作業が増えます。当事務所では一括30万〜80万円(税別)の範囲で、目的と手法の数を伺ってから見積もります。
相続税の評価とM&Aの算定を一度に頼むことはできますか。
できます。ただし、財産評価基本通達による評価額と、M&Aで使う価値は求める価格の性格が違うため、成果物は分けて作ることになります。最初に両方の目的を伝えていただくと、資料の受け取りを一度で済ませられます。
急ぎの場合、どのくらいの期間で仕上がりますか。
資料が揃っていて、手法が少ない案件であれば短縮できることがあります。一方で、事業計画の検証を省くと説明に耐えない算定書になるおそれがあるため、取締役会や契約の日程を伺ったうえで、無理のない日程をご提案します。
算定した金額が、そのまま売買価格になりますか。
なりません。M&Aでは算定結果は交渉の出発点で、最終的な価格は当事者の合意で決まります。税務目的の評価でも、取引の当事者や条件によって課税関係が変わるため、価格を決める前にご相談ください。
ご相談・お見積り
当事務所は東京都台東区の公認会計士・税理士事務所です。株価算定の初回相談は無料で、お見積りも無料です。「まず金額の目安だけ知りたい」というご相談も承ります。目的と評価基準日、取引の予定時期がわかれば、必要な手法と費用をご提示できます。
- 料金の詳細:料金の目安
- サービス内容:M&A支援業務(株価算定)
- ご相談・お見積りのご依頼:お問い合わせ(お電話の場合は03-6820-0406)
本記事の根拠
- 日本公認会計士協会 経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」(平成19年5月16日、改正平成25年7月3日)
- 国税庁 タックスアンサー No.4638 取引相場のない株式の評価
- 国税庁 法人税基本通達 9-1-13(市場有価証券等以外の株式の価額)、9-1-14(市場有価証券等以外の株式の価額の特例)
- 国税庁 所得税基本通達 59-6(株式等を贈与等した場合の「その時における価額」)
- e-Gov法令検索 会社法 第144条(売買価格の決定)
- e-Gov法令検索 公認会計士法 第24条の2、第34条の11の2(大会社等に係る業務の制限の特例)
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