KSK2で何が変わった?電子交付・お問い合わせ番号・納付書の新様式と会社の対応

※本記事は2026年10月13日時点の公表資料に基づきます。

KSK2で変わったことと、会社がやること

国税庁の基幹システムは2026年9月24日に更改され(KSK2)、税務署からの通知の電子交付が広がり、同意の方法が「事前の一括同意」に変わりました。あわせて、通知や納付書の番号は13桁の「お問い合わせ番号」になり、紙の申告書の様式も変わっています。会社は、e-Taxでの受領方法の設定、通知を見る担当と期限の管理、源泉所得税の納付書の確認を、移行後1か月のうちに済ませておくのが安全です。

  • 電子交付を受けたいなら、既に使っていた会社も含めてe-Taxマイページで一括同意が必要
  • 更正通知書の納付期限は「発せられた日」の翌日から1月。開封が遅れても延びない
  • 納付書・所得税徴収高計算書は「お問い合わせ番号又は法人番号」(13桁)の欄に変わった

2026年10月13日更新

「税務署からの通知がe-Taxに届くようになったらしいが、何をすればよいのか」「納付書の番号欄が変わって、どこに何を書けばよいのか分からない」。2026年9月24日に国税庁のシステムが更改されてから、経理の現場ではこうした声が増えています。システムの名前はKSK(国税総合管理システム)の次の世代という意味で、KSK2と呼ばれることがあります。

結論からいえば、移行そのものは済んでおり、会社に残っているのは「通知の受け取り方」「期限の管理」「納付書と申告書の様式」の3つを自社の手順に合わせる作業です。この記事では、国税庁とe-Taxの公表資料をもとに、移行後に何が変わったかを整理し、法人の経理がメッセージボックスをどう運用するか、源泉所得税の担当者が新しい様式で何に注意するか、移行後1か月で確認したいことを具体的にまとめます。

※本記事の事例・体制例は、説明のために作成した架空のものです。

KSK2とは:2026年9月24日に国税システムが更改された

国税庁は、令和8年(2026年)9月24日に国税システムを更改したと公表しています。申告・納税の情報を管理する税務署側の基幹システムが新しくなったもので、e-Taxや税務署から送られてくる書類、納付書、申告書の様式にも影響が出ています。

移行の前後には、e-Taxが使えない時間がありました。e-Taxのお知らせでは、2026年9月19日(土)0時から9月24日(木)8時30分までと、9月26日(土)0時から24時までが利用できない時間とされ、9月25日(金)0時から4時にも障害対応の緊急メンテナンスが行われました。この期間の準備や待機はすでに過去のことで、いま確認すべきは、移行後の新しい仕組みに会社の手順が合っているかどうかです。

KSK2への移行前後の主な日程(2026年9月)9月19日0時e-Tax停止9月24日システム更改9月25日緊急メンテ9月26日終日停止10月〜運用の見直し・9月24日は8時30分にe-Taxが再開。9月25日は0時〜4時に障害対応の緊急メンテナンス出典:e-Tax「国税システムの更改に伴うメンテナンス時間について」「緊急メンテナンスのお知らせ」

図1 移行の停止期間は終わっています。いま必要なのは、変わった運用に会社の手順を合わせることです

移行直後には、いくつかの不具合や遅れも案内されています。国税庁は9月24日付で、税務署の窓口での手続(現金の領収や納税証明書の交付など)に時間がかかっていること、e-Taxで納税証明書を請求してもすぐには交付できず、書面での交付となる場合があることを知らせ、電子申請をする人にはマイページの基本情報に電話番号を登録するよう求めています。また、e-Taxの「振替納税結果表示」画面に「振替不能」等と表示される事象について10月6日に案内があり、その後、改修が完了して正しい情報が表示されていると更新されています(10月13日時点)。銀行への提出などで納税証明書が急ぎで必要な会社は、日数に余裕をもって請求してください。

変わった点の全体像

国税庁の「国税システムの更改について」のページには、変わった点として7つの項目が並んでいます。これにe-Taxの「Web回答」(税務署からのお尋ねにWebで回答する機能)を加えると、会社に関係するのは次の8点です。

国税システムの更改で変わった主な点処分通知等の電子交付対象拡大・事前の一括同意に通知等にお問い合わせ番号13桁を税務署が印字納付書・所得税徴収高計算書整理番号8桁→お問い合わせ番号13桁申告書等の様式AI-OCR対応・控用廃止・原則白黒e-TaxのIPアドレス固定→動的(非公開)開示する申告書等ヘッダーに提出年月日を表示漢字(旧字体等)JIS第1〜第4水準の文字で表示お尋ねへの回答e-TaxのWeb回答で返せる

図2 国税庁の「国税システムの更改について」の7項目に、e-TaxのWeb回答を加えて整理しました

変わった点 内容(国税庁の案内) 会社への影響
処分通知等の電子交付 対象が従来の9通知から拡大。同意は原則として事前の一括同意に 受け取り方を選び直す。見る人と期限の管理を決める
お問い合わせ番号 税務署が送る通知等に13桁の番号を印字 税務署へ問い合わせるときに伝える
納付書・所得税徴収高計算書 整理番号欄(8桁)がお問い合わせ番号の欄(13桁)に 給与・報酬の源泉所得税を納める担当者が書き方を確認
申告書等の様式 一部の様式が新しくなり、控用は廃止。配色は原則白黒 紙で出すときは最新様式を使い、控えは自社で作る
e-TaxのIPアドレス 固定から動的に変更(非公開) IPアドレスで通信を許可していればURLでの許可に変更
開示する申告書等 閲覧・開示のとき、ヘッダーに提出年月日を表示 提出日の確認手段が増える
漢字(旧字体等) 税務署の文書はJIS第1〜第4水準の文字で表示 社名・代表者名の字形が変わって見える場合がある
お尋ねへの回答 e-TaxのWeb回答でお尋ね文書に回答できる 紙で郵送せずに回答・資料添付ができる

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処分通知等の電子交付:一括同意をしないと紙のまま

いちばん影響が大きいのが、税務署長等からの通知(処分通知等)をe-Taxで受け取る「電子交付」の変更です。処分通知等とは、更正通知書や加算税の賦課決定通知書のように、税務署長等が行う処分を知らせる書面のことで、お知らせの類も含みます。e-TaxのQ&Aによると、電子交付の対象は従来の9通知から拡大され、同意の方法も、申告・申請のたびに同意する方式から、原則として事前に「一括同意」する方式に変わりました。対象になる通知は、e-Taxホームページの検索ページで確かめられます。

注意したいのは、これまで電子交付を使っていた会社も、9月24日以後に一括同意の手続をしないと、原則として書面(郵送)での受け取りになる点です。「以前から電子で受け取っていたから大丈夫」とは限りません。

一括同意の手順

一括同意は、e-Taxのマイページで「通知書等の受領方法」を開き、「電子(e-Tax)」を選んで、メールアドレスを登録し、ワンタイム認証を済ませてから「登録する」を押す流れです。初めてe-Taxを使う場合は、開始届出書(電子)の利用者情報登録画面で同じ選択をします。2026年9月24日より前にメールアドレスと宛名の登録が済んでいれば、ワンタイム認証は要りません。マイページの「通知書等の受領方法」画面で「電子(e-Tax)」が選ばれていれば、一括同意は済んでいます。

電子交付の一括同意の手順(e-Taxマイページ)マイページにログイン通知書等の受領方法電子(e-Tax)を選択メール登録・ワンタイム認証「登録する」を押す・9月24日より前にメールアドレスと宛名の登録が済んでいれば、ワンタイム認証は不要・初めて使う場合は、開始届出書(電子)の利用者情報登録画面で同じ選択をする出典:e-Tax「処分通知等の電子交付に係るQ&A」1-4

図3 既に電子交付を使っていた会社も、9月24日以後にあらためて一括同意の手続が必要です

登録するメールアドレスは、担当者個人のアドレスではなく、経理の共有アドレスにしておくのがおすすめです。電子交付があると、メッセージボックスに格納した旨のお知らせメールが届きます。担当者の異動や休暇でメールが止まると、通知に誰も気づかないという事態になりかねません。メールアドレスは一括同意の後もマイページで変更できます。

一括同意と関係しない通知もある

すべての通知が一括同意だけで決まるわけではありません。e-TaxのQ&Aでは、従来から電子交付の対象だった通知について、取扱いを個別に示しています。とくに国税還付金振込通知書は、一括同意やメールアドレスの登録の有無にかかわらず、申告・申請のたびに電子交付への同意が必要です。法人税や消費税の還付申告をするときは、申告書の送信時に電子通知の希望を選んでいるかを確かめてください。

通知の種類と一括同意の関係通知の種類一括同意との関係注意点新たに対象になった通知一括同意で電子交付特定の通知だけ紙は不可更正の請求に係る減額更正加算税の賦課決定通知など改めて一括同意が必要以前の同意は引き継がれない住宅借入金等特別控除証明書インボイスの登録通知以前の同意で交付される新たな申請では一括同意電子申請等証明書納税証明書請求すれば電子交付一括同意は不要国税還付金振込通知書申告・申請の都度に同意一括同意と連動しない出典:e-Tax「処分通知等の電子交付に係るQ&A」4-1〜4-4

図4 国税還付金振込通知書だけは、一括同意とは別に申告・申請のたびに同意が必要です

また、一括同意をしていると、特定の通知だけを書面で受け取ることはできません。紙で受け取りたい場合は、マイページで「書面(郵送)」を選び直して同意を取りやめます。逆に、一括同意をしていても書面で届く場合があります。e-Taxの案内では、税目が「納税関係」の処分通知等のうち、国税局長(沖縄国税事務所長)が法人向けに出すものは、当面は書面で通知されるとされています。電子と紙の両方の入口を見張る必要があるということです。

電子交付された通知の届き方と例外税務署長等の処分通知等メッセージボックスに格納登録アドレスにお知らせメール書面(郵送)で届く例外国税局長による法人向けの納税関係の通知(当面)など・格納から1,900日で削除(既読・未読を問わない)。電子交付された通知は書面では届かない出典:e-Tax「処分通知等の電子交付について」「処分通知等の電子交付に係るQ&A」3-1・3-5

図5 一括同意をしていても、書面で届く通知があります。どちらで届いても見落とさない仕組みが要ります

メッセージボックスに格納された通知は、PDFでダウンロードできます。ただし、格納から1,900日が経つと、既読・未読にかかわらず削除されます。電子交付された通知は別に書面では届かないので、法人税の帳簿書類と同じように、社内のフォルダにPDFを保存しておく運用にしておきましょう。

税理士と通知を共有する:委任関係の登録

顧問税理士がいる会社では、税理士にも通知を見てもらう設定が欠かせません。e-Taxでは、会社(納税者)と税理士がe-Tax上で「委任関係の登録」をすると、税理士が「税理士マイページ」で会社あての電子交付通知を見られるようになります。手順は、税理士が自分のカナ氏名・名称を登録して利用者識別番号を会社に伝え、会社がマイページの「税理士への情報共有」から登録し、税理士が「関与先関連」から承認する流れです。承認されると、会社のメッセージボックスに承認完了通知が届きます。登録できる税理士は3名までです。

税理士と通知を共有する手順(委任関係の登録)税理士が名称を登録し番号を伝達会社が「税理士への情報共有」で登録税理士が「関与先関連」で承認承認完了通知が届き共有開始・顧問をやめるときは「委任関係の解除」。会社と税理士のどちらからでもできる・解除後は会社のマイページからメールアドレスを変えられなくなる。先に変更する出典:e-Tax「委任関係の登録方法」、「処分通知等の電子交付に係るQ&A」3-2・3-3

図6 依頼するのは会社(納税者)、承認するのは税理士です。登録できる税理士は3名までです

顧問契約を終えるときは「委任関係の解除」を行います。解除は会社と税理士のどちらからでもできますが、解除すると会社のマイページからメールアドレスを更新できなくなるため、税理士のメールアドレスを登録していた場合は、解除の前に会社のアドレスへ変えておきます。税理士を替える場面では、通知の共有先も一緒に切り替えることを、引継ぎの手順に入れておきましょう。

お尋ねにはe-TaxのWeb回答で返せる

税務署などから届く「お尋ね」(申告内容などについての照会文書)には、e-TaxのWeb回答で答えられます。電子で届いたお尋ねは、メッセージボックスの受信通知から回答画面に進みます。書面で届いたお尋ねでも、Web回答の対象であれば、書面にあるURLかQRコードから「認証キー入力」画面を開き、記載された認証キーを入れて回答できます。回答フォーマットに入力し、必要なら資料を添付して送信します。

お尋ねにe-Taxで回答する3つの入口入口回答までの流れ受信通知からメッセージボックスのお尋ね文書を開き「回答画面へ」マイページから受信通知のお尋ね文書を開き「回答を行う」→回答一覧書面のお尋ねURL・QRコードから「認証キー入力」→回答画面回答フォーマットに入力し、必要なら資料を添付して送信します(出典:e-Tax「Web回答」)

図7 書面で届いたお尋ねでも、Web回答の対象なら認証キーを入れて回答できます

法人の経理の運用表:誰が見て、いつまでに何をするか

電子交付に切り替えると、通知の入口は本店の郵便受けからメッセージボックスとメールに移ります。紙の郵便なら、封筒を受け取った人が経理に回せば済みましたが、電子ではメールを見落とすと誰も気づきません。まず決めておきたいのは、「誰が開くか」「期限を誰が管理するか」「誰が承認するか」の3つです。

電子交付を受ける会社の確認体制(例)メッセージボックス(会社のe-Tax)お知らせメール共有アドレスで受信経理担当その日のうちに開封期限を管理表に登録担当と期日を決める経理責任者納付・回答を承認顧問税理士委任関係の登録で閲覧架空の体制例。人数の少ない会社は、経理担当と社長の2人で同じ流れを回します

図8 通知を開く人、期限を管理する人、承認する人を分けておくと、担当者が不在でも止まりません

例として、従業員30人のA社(架空)では、経理の共有アドレスを一括同意のメールアドレスにして経理担当2人が受信し、届いた日のうちにPDFを保存して、通知の種類と期限を管理表に書き込んでいます。

通知の種類ごとの期限とやること

通知の種類によって、期限の数え方と次にやることが違います。とくに更正通知書と加算税の賦課決定通知書は、納付期限が「通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日」と国税通則法35条で決まっており、会社が通知を開いた日から数えるわけではありません。メールに気づくのが遅れると、それだけ納付までの日数が減ります。電子交付の通知は、受け取る人の使用する電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に到達したものとみなされます(情報通信技術活用法7条3項)。不服申立ての期限(通知を受けた日の翌日から3月)も、メッセージボックスを開いた日ではなく、格納された日を基準に考えておくのが安全です。

更正通知書を受けたときの期限更正通知書・決定通知書が発せられる翌日から1月を経過する日=納付期限通知を受けた日の翌日から3月=不服申立て・加算税の賦課決定通知書も同じく、発せられた日の翌日から1月が納付期限出典:国税通則法35条2項・3項、77条1項

図9 納付期限は「通知書が発せられた日」から数えます。開くのが遅れても期限は延びません

通知・お知らせ 期限の目安 経理がやること
更正通知書・決定通知書 発せられた日の翌日から1月を経過する日に納付(通則法35条2項)。不服申立て(再調査の請求または審査請求)は通知を受けた日の翌日から3月以内(通則法77条1項) 金額と理由を確認し、税理士と相談。納付手続と、争うかどうかの判断
加算税の賦課決定通知書 発せられた日の翌日から1月を経過する日に納付(通則法35条3項) 電子交付だと納付書は書面で送られない。キャッシュレス納付か、税務署・金融機関に納付書を依頼
更正の請求に係る減額更正の通知 納付期限はなし。請求どおりでない場合の不服申立ては通知を受けた日の翌日から3月以内 還付額と振込を確認し、会計処理に反映
更正決定等をすべきと認められない旨の通知(是認通知) 期限なし 調査の結果として保存。調査対象年度と論点を記録
法人税予定申告のお知らせ 予定申告の法定申告期限月の上旬にメッセージボックスへ格納 e-Taxで申告している法人などには納付書が事前送付されない。期限内に申告・納付
予定納税額の通知(役員個人の所得税) 6月15日までに通知。第1期7月、第2期11月に納付 役員個人あての通知。会社で代行するなら役員と取扱いを決める
お尋ね(照会文書) 文書に記載の回答期限 回答案の作成者と確認者を決め、Web回答の控えを保存

是認通知は、実地調査の結果、更正決定等をすべきと認められない場合に、税務署長等が書面で通知するものです(国税通則法74条の11第1項)。調査が終わったことを示す大切な記録なので、電子で届いた場合も確実に保存してください(申告是認とは?是認通知が届く調査と、通知後に再調査される場合)。調査の終わりに修正申告を勧められた場合の考え方は調査結果の説明と修正申告の勧奨|その場で応じるべきか、調査全体の流れは税務調査 完全ガイド|連絡が来てから終わるまでの全手順で解説しています。

法人税の予定申告にも注意が要ります。国税庁の資料では、前事業年度の確定法人税額が20万円を超える場合に予定申告と納税の義務が生じ、予定申告の法定申告期限月の上旬に、申告と納付に必要な情報がメッセージボックスに格納されるとされています。令和6年5月以降、e-Taxで確定申告をした法人やダイレクト納付などを使う法人には、法人税の納付書は事前に送られません。消費税の中間申告書兼納付書は、e-Taxの義務化法人を除き引き続き送られるため、「消費税の納付書だけ届いて法人税の分を忘れる」ことがないよう、管理表で期限を押さえておきます。

紙の郵便を待つ運用からの切替え

これまで紙の郵便を前提にしていた会社が電子交付に切り替えるときは、次の点を見直します。

紙を待つ運用と電子交付の運用項目紙の郵便を待つ運用電子交付の運用届く先本店の郵便受けメッセージボックスとメール気づく人郵便を開けた人共有アドレスの受信者保管紙のファイルPDFで保存(1,900日で削除)税理士との共有コピーを送る委任関係の登録で閲覧納付書同封されることがある送られない場合がある不在時郵便がたまる受信者を2人以上にする

図10 電子交付に切り替えると、郵便受けではなくメッセージボックスとメールが入口になります

切替えの順番は、(1)共有アドレスを用意する、(2)マイページで一括同意をする、(3)顧問税理士と委任関係を登録する、(4)管理表とPDFの保存先を決める、(5)社内に「税務署からの郵便も引き続き経理へ回す」ことを周知する、です。書面で届く通知も残るので、郵便の回付ルールはやめずに続けてください。

お問い合わせ番号と、納付書・所得税徴収高計算書の新様式

税務署から送られる通知等には、13桁の「お問い合わせ番号」が印字されるようになりました。番号は税務署側で発番するもので、通知の内容について税務署に問い合わせるときに伝えると、やり取りがスムーズになると案内されています。電話で問い合わせる前に、手元の通知のどこに番号があるかを確かめておきましょう。

納付書(領収済通知書)も様式が変わりました。国税庁によると、令和8年9月下旬以降に税務署の窓口で交付する納付書から、納税者を識別するための「整理番号」欄(8桁)が「お問い合わせ番号又は法人番号」欄(13桁)に変わっています。お問い合わせ番号は、税務署が送る文書と納税者の情報を結びつけるためにシステムが自動で払い出す番号です。納付書に番号が印字されていない場合、法人は13桁の法人番号を書き、個人は記載不要です。コンビニで使うバーコード付きの納付書は番号が印字済みなので、記載は要りません。このほか、「納期等の区分」欄などへの元号欄の追加と、住所欄への郵便番号欄の追加も行われています。

整理番号からお問い合わせ番号へ旧:整理番号8桁新:お問い合わせ番号13桁(システムが払い出す)印字されている→そのまま使う印字がない(法人)→法人番号13桁を記載個人の納税者→記載は不要出典:国税庁「納付書(領収済通知書)の様式変更等」9月下旬〜

図11 納付書の番号欄は「お問い合わせ番号又は法人番号」(13桁)になりました

整理番号欄のある旧様式の納付書は、当分の間使えるとされています。手元に旧様式の在庫がある会社は、すぐに捨てる必要はありません。

源泉所得税の担当者が注意すること

毎月(または半年ごと)に源泉所得税を納める給与・報酬の担当者がいちばん影響を受けるのが、所得税徴収高計算書(納付書)です。国税庁の「源泉徴収のしかた」では、令和8年9月下旬以降に税務署の窓口で配付する納付書は、A4の三つ折り程度の複写式から、A4の単票式に変わる予定とされていました。単票式は複写式ではないため、税額などを各片に3回書く必要があります。国税庁はこの手間を減らすための印字ツールを提供しています。

所得税徴収高計算書の旧様式と新様式項目旧様式(複写式)新様式(A4単票式)番号欄整理番号(8桁)お問い合わせ番号又は法人番号書き方1回書けば3枚に写る税額などを3回記載配付(手元の在庫)9月下旬以降に窓口で配付使える期間令和10年9月頃まで(予定)―共通の注意切り離さずに提出2次元コードでは納付不可出典:国税庁「所得税徴収高計算書(納付書)の記載のしかた」「源泉徴収のしかた」

図12 新様式は単票式で3回書く必要があります。国税庁の印字ツールを使うと手間が減ります

確認すること 注意点 根拠となる案内
番号欄 お問い合わせ番号が印字されていなければ、法人は法人番号(13桁)を記載 国税庁「納付書(領収済通知書)の様式変更等」
書く回数 単票式は税額などを3回書く。印字ツールを使うと転記ミスが減る 国税庁「所得税徴収高計算書(納付書)の記載のしかた」
旧様式の在庫 整理番号欄のある複写式は令和10年9月頃まで使える予定 同上
切り離さない 計算書は切り離さずに金融機関等へ出す 同上
2次元コード 計算書の左側の2次元コードは税務署の内部手続用。読み取って納付はできない 同上
税額がない月 納付税額がなくても計算書は所轄税務署に提出(e-Taxでも送信できる) 国税庁「源泉徴収のしかた」
区分の書き分け 俸給・給料等、賞与、退職手当等、税理士等の報酬などを区分ごとに記載 同上

源泉所得税の納期限は、原則として給与などを支払った月の翌月10日です。給与の支給人員が常時10人未満で納期の特例の承認を受けている場合は、1月から6月分を7月10日まで、7月から12月分を翌年1月20日までにまとめて納めます。期限が土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは、休日明けの日が期限です。

源泉所得税の納期限(原則と納期の特例)原則支払った月の翌月10日納期の特例1月〜6月分7月10日までに納付納期の特例7月〜12月分翌年1月20日までに納付・納期の特例は給与の支給人員が常時10人未満で、承認を受けた場合。期限が休日なら休日明けの日

図13 原則は翌月10日。納期の特例では7月10日と翌年1月20日が納期限です

納期の特例を使っている会社は、次に計算書を書くのが2027年1月20日の期限分になるため、新様式に気づくのが遅れがちです。年内に新しい計算書を入手し、印字ツールを試しておくと、年明けの繁忙期にあわてずに済みます。なお、源泉徴収票の税務署への提出の扱いも変わる予定です(源泉徴収票のみなし提出|2027年1月から、税務署への提出範囲はむしろ広がる)。年末調整の準備とあわせて確認しておきましょう。

読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか

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紙で申告書を出すとき:AI-OCR様式・控用の廃止・業務センター

e-Taxではなく紙で申告書や届出書を出す会社にも変更があります。国税庁は、一部の書面申告書、申請・届出書、法定調書の様式を新しくし、控用を廃止し、配色を原則として白黒にしました。新しい様式の受付が始まった後は、最新の様式で出すよう求めています。様式ごとの公表時期と受付開始時期は、国税庁が一覧(Excel)で公表しています。以前にダウンロードした様式を使い回すと、旧様式のままになっていることがあります。

新しい様式は機械で読み取ることを前提にしているため、国税庁の「書面提出に当たって」では、原則A4の普通紙を使い、黒で印刷し、記載欄の枠内に楷書で丁寧に書くこと、穴あけやのりづけをしないこと、数字だけを書く金額欄に「¥」や「円」を書かないことなどが求められています。国税庁のサイトから取得した様式をコピーして繰り返し使うと読み取りに影響するので、プリンタから直接印刷したものを使います。

紙で申告書等を出すときの流れ最新の様式を国税庁から印刷A4・黒で枠内に楷書正本のみを業務センターへ控えは自社で提出日を記録・返信用封筒を同封すると、日付と業務センター名を書いたリーフレットが返送(当分の間)出典:国税庁「書面提出に当たって」「申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直し」

図14 控えに収受日付印は押されません。提出日の記録は会社側で残します

紙の書類を郵送するときの送り先は、所轄税務署ではなく担当の業務センターです(窓口や時間外収受箱に出す場合は所轄税務署)。令和8年7月10日から全国すべての税務署が内部事務のセンター化の対象になり、郵送する申告書等は業務センターあてに送ります。宛名の書き方や、郵送した日がいつ提出日になるかは業務センターへ申告書を郵送するには?提出先・宛先の書き方と届出書の注意点で詳しく解説しています。

令和7年1月からは控えに収受日付印が押されないため、正本だけを出し、控えと提出年月日は自社で記録します(返信用封筒を同封した場合のリーフレットの返送も上の記事で解説しています)。KSK2の移行後は、申告書等の閲覧や開示請求のときに、ヘッダーに提出年月日が表示されるようにもなりました。

文字の扱い:社名の旧字体はどうなるか

税務署が出す文書や納税証明書で使う漢字・記号は、JIS第1水準から第4水準(JIS X 0213で定められた文字)に限られるようになりました。社名や代表者名に旧字体などを使っている場合、通知や納税証明書では字形が置き換わったり、手書きで表示されたりすることがあります。申告書等を出すときは、引き続き旧字体を使えます。

e-TaxのIPアドレス変更と社内のネットワーク設定

e-TaxのIPアドレスは、2026年9月24日8時30分以降、固定のIPアドレスから、接続のたびに変わる動的なIPアドレスに変わり、IPアドレスは公開されなくなりました。社内のファイアウォールやプロキシでIPアドレスを指定してe-Taxへの通信を許可している会社は、URL(ドメイン名)での接続に切り替える必要があります。各ページのURLは変わっていません。

e-TaxのIPアドレス変更と社内の接続設定社内のファイアウォール・プロキシIPアドレス指定 → 9月24日以降は使えないURL(ドメイン名)で許可する例:login / mypage / uketsuke / kaishi / cps(いずれも .e-tax.nta.go.jp)出典:e-Tax「e-TaxのIPアドレスの仕様変更について」

図15 IPアドレスで通信を許可している会社は、ドメイン名での許可に切り替えます

移行後に「会社のパソコンからだけe-Taxにつながらない」という場合は、この設定が原因の可能性があります。e-Taxの案内に示されたドメイン名を情報システムの担当者や機器の提供元に伝え、設定を確認してもらいましょう。

移行後1か月で確認したいチェックリスト

移行から3週間ほどが経ちました。受け取り方と担当者を先に固め、様式とネットワーク設定は、次に納付書や申告書を使う前に確かめます。

移行後1か月で確認する順番(例)第1週受領方法と一括同意第2週委任関係と担当者第3週納付書・計算書第4週紙の様式・IP設定・9月支払分の納付(今年の期限は10月13日)が済んでいれば、11月10日の納付から新様式を確認

図16 受領方法と担当者を先に固め、様式と接続設定は次の納付・提出の前に確認します

確認項目 担当 確認のしかた
受領方法が「電子(e-Tax)」になっているか 経理責任者 マイページの「通知書等の受領方法」画面
一括同意のメールアドレスが共有アドレスか 経理責任者 マイページのメールアドレス画面
マイページの基本情報に電話番号があるか 経理担当 マイページの「基本情報」
顧問税理士と委任関係を登録したか 経理担当・税理士 承認完了通知がメッセージボックスにあるか
還付申告で電子通知の希望を選んでいるか 経理担当 申告書の送信前の確認項目に追加
通知の管理表とPDFの保存先を決めたか 経理責任者 管理表の項目(受信日・種類・期限・担当・完了日)
新しい納付書・所得税徴収高計算書を入手したか 給与担当 番号欄と記載方法を記載例で確認
紙で出す様式が最新か 経理担当 国税庁の様式一覧と照合
e-Taxへの通信をIPアドレスで許可していないか 情報システム担当 ファイアウォール・プロキシの設定
  • マイページで「電子(e-Tax)」を選び、一括同意を済ませた
  • お知らせメールを複数人が受け取れる共有アドレスにした
  • 顧問税理士との委任関係を登録し、承認完了通知を確認した
  • 更正通知・加算税・予定申告の期限を管理表で追う運用にした
  • 所得税徴収高計算書の新様式と印字ツールを確認した
  • 紙で出す申告書・届出書は最新様式を使い、控えと提出日を自社で記録している

よくある質問

Q1. 以前から電子交付を使っていました。何もしなくてよいですか。

いいえ。e-TaxのQ&Aでは、9月23日以前に同意していた人も、引き続き電子交付を希望するなら原則として9月24日以後に一括同意の手続が必要とされています。ただし、住宅借入金等特別控除証明書やインボイスの登録通知、電子申請等証明書・納税証明書のように、以前の同意や請求に基づいて電子交付される通知もあります。

Q2. 一部の通知だけ紙で受け取ることはできますか。

できません。一括同意をしている間は、特定の通知だけを書面にすることはできません。紙に戻すときは、マイページで「書面(郵送)」を選び直します。

Q3. 顧問税理士を替えるとき、通知の共有はどうなりますか。

前の税理士との委任関係を解除し、新しい税理士と登録し直します。前の税理士のメールアドレスを登録しているなら、解除の前に会社のアドレスへ変えておきます。

最初の一歩は、マイページの「通知書等の受領方法」を開くことです

画面で「電子(e-Tax)」が選ばれているかどうかを見るだけで、自社が一括同意を済ませているかが分かります。選ばれていなければ、共有アドレスを用意してから一括同意をし、そのうえで顧問税理士に委任関係の登録を依頼してください。ここまで済めば、残りは管理表と様式の確認です。

まとめ

KSK2と呼ばれる国税システムの更改は2026年9月24日に終わりました。会社がやることは、受け取り方を一括同意で設定し、通知を開く人・期限を管理する人・承認する人を決め、税理士と委任関係を登録し、源泉所得税の納付書と紙の様式を確認することです。更正通知書の納付期限は通知書が発せられた日から数えるので、電子交付に切り替えた会社ほど「その日のうちに開く」運用が大切になります。

電子交付への切替えや税務署とのやり取りを任せたい方へ

当事務所では、e-Taxの電子交付の設定、税理士との通知書の共有、申告・届出・納付の運用見直しまで公認会計士・税理士が対応します。届いた通知の内容確認や期限の管理、税務署からのお尋ねへの回答もご相談いただけます。法人税の申告や組織再編の税務は法人税務のサービス、継続的なご相談は税務顧問のページをご覧ください。

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公認会計士・税理士 鈴木佑也

この記事を書いた人鈴木 佑也(公認会計士・税理士)

公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可申請にかかる監査証明と合意された手続業務に対応しています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る

本記事の根拠

免責:本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別案件に対する法務、会計、税務その他の専門的助言を構成するものではありません。実際の対応は、最新の法令・取引所規則・公表資料を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。

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