事業承継税制を使えば相続税がゼロになる。そう聞いて相談に来られる方が多くいます。
正確には、ゼロになるのではなく、猶予されます。そして要件を満たし続けたときに、最後に免除されます。途中で外れれば、猶予されていた税額を納めることになります。
この記事では、制度の骨格と、猶予が打ち切られる場合を確認したうえで、使うかどうかをどう決めるかを整理します。
- 免除ではなく猶予から始まる制度であること
- 担保の提供が条件であること
- 相続の場合は相続人の死亡の時まで猶予されること
- 特例措置の適用期間が令和9年12月31日までであること
- 譲渡や解散などで猶予が打ち切られること
- 上場やM&Aを考えるなら相性が良くないこと
📌 結論 猶予であって、免除は最後
猶予であって、その場で税金が消えるわけではありません。要件を満たし続けることで、最後に免除にたどり着く制度です。
租税特別措置法の第70条の7の6は、特例認定承継会社の非上場株式等を相続または遺贈により取得した特例経営承継相続人等について、納税猶予分の相続税額の納税を猶予すると定めています。担保の提供が条件です。
猶予される期間は、原則としてその相続人の死亡の時までです。そこで免除されます。つまり、次の世代に渡すまで走り続ける制度です。
特例措置の適用期間は、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの期間とされています。この期間の終わりが近づいていますから、使うかどうかを決めるなら早めに検討してください。
⚠️ 猶予が打ち切られる場合
租税特別措置法第70条の7の2に、猶予中の税額を納付しなければならない場合が列挙されています。特例措置ではこれらが準用されます。
租税特別措置法の第70条の7の2には、猶予中の税額を納付しなければならない場合が列挙されています。特例措置ではこれらが準用されます。
主なものは、対象となった株式の譲渡等、合併による消滅、株式交換・株式移転、そして解散です。加えて、継続届出書の提出を怠った場合も猶予が続きません。
ここが実務でいちばん重いところです。制度を使ったあと、株式を自由に動かせなくなります。事業を売る、資本を入れる、上場する。いずれも、猶予の前提と衝突する可能性があります。
届出が続くということ
猶予を続けるには、決められた期間ごとに届出を出し続ける必要があります。何年も先まで、忘れずに出し続けられる体制があるかどうか。ここも判断の材料になります。
代替わりが起きたとき、次の担当者が制度の存在を知らなかった、ということが実際に起こります。社内の引継ぎ資料に残してください。
株価の算定、税額の試算、事業承継税制を使う場合と使わない場合の比較、そして継続届出の管理まで対応します。上場やM&Aの可能性がある会社では、猶予との相性を先に確かめることをおすすめします。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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🧭 使うかどうかの決め方
使うと決める前に、やめるときのことを計算してください。途中で切れると、猶予されていた税額を納めることになります。
順番があります。まず株式の評価額を出して、税額を知ることです。ここを飛ばして制度の話から入ると、判断ができません。
税額がわかったら、納税資金があるかを確かめます。資金があるなら、猶予に頼る必要はありません。制約を負わずに済みます。
次に、後継者です。決まっているか、その人が長く続けられるか。猶予は次の世代まで続く制度ですから、後継者の意思がはっきりしていることが前提になります。
そして、将来の株式の動きです。上場、M&A、第三者への承継。これらの予定があるなら、猶予は途中で切れます。切れたときの税額と利子を試算しておいてください。
🔀 使わない選択
事業承継税制はあくまで選択肢の1つです。会社の方向性が上場やM&Aなら、最初から別の道を考えたほうが早いこともあります。
使わないという結論も、十分に現実的です。
評価額そのものを下げてから渡す。分割して少しずつ渡す。納税資金を別に作る。どれも制度の制約を負わずに済みます。評価の仕組みについては自社株評価は類似業種比準と純資産価額のどちらになるかにまとめています。
とくに、上場を目指している会社では、猶予との相性が良くありません。上場の過程で株式の異動が起こりますし、資本政策そのものが制約を受けます。
会社の方向性が固まっていない段階で制度を使うと、あとで身動きが取れなくなります。方向性を決めてから、手段を選んでください。
❓ よくある質問
A. まず猶予されます。要件を満たし続けたときに免除されます。その場で消えるわけではありません。
A. 担保の提供が条件とされています。そのほか、認定や継続届出などの要件があります。
A. 相続の場合、原則としてその相続人の死亡の時までです。
A. 平成30年1月1日から令和9年12月31日までの期間に適用されるとされています。
A. 譲渡等は、猶予中の税額を納付しなければならない場合として挙げられています。
A. 解散も、猶予が打ち切られる事由として挙げられています。
A. 制度の要件と、上場の過程で生じる株式の異動は衝突しやすい関係にあります。方向性を先に決めてください。
A. 評価額を下げてから渡す、分割して渡す、納税資金を別に用意する、といった方法があります。
📄 まとめ
事業承継税制は、まず猶予から始まる制度です。担保を提供し、要件を満たし続けて、最後に免除にたどり着きます。
特例措置の適用期間は令和9年12月31日までとされています。検討するなら早めに動いてください。
譲渡等、合併による消滅、株式交換・株式移転、解散。これらは猶予が打ち切られる事由として挙げられています。制度を使うと、株式を自由に動かせなくなります。
使うかどうかは、税額を出し、納税資金を確かめ、後継者と将来の株式の動きを見てから決めてください。使わない選択も、十分に現実的です。
📚 参考(公的な一次情報)
- 租税特別措置法 第70条の7の2、第70条の7の6
- 国税庁タックスアンサー No.4148(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除)
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