死亡後の年金手続きは14日以内が目安!葬祭費・埋葬料も忘れずに

葬儀を終えてほっとする間もなく、今度は役所や年金の手続きが待っています。「年金は止めないといけないの?」「保険証はどうするの?」「もらえるお金があるって聞いたけれど……」と、分からないことだらけで不安になりますよね。

この記事では、亡くなった後おおむね14日以内を目安に行う、年金・健康保険・介護保険・世帯主変更の手続きと、申請しないと受け取れない葬祭費・埋葬料を、台東区の窓口を例に一つずつ解説します。前回(死亡届と葬儀費用の記録)に続く、連載第3回です。

📖 この記事でわかること

  • 死亡後14日以内を目安に行う手続きの一覧(窓口別マップ)
  • 年金の受給停止(厚生年金10日・国民年金14日)と未支給年金の請求方法
  • 国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険・世帯主変更の手続き
  • 申請しないともらえない葬祭費(7万円)・埋葬料(5万円)と税金の扱い

🗓️ 死亡後14日以内が目安の手続き一覧【窓口別マップ】

結論から言うと、この時期の手続きは「年金事務所で行うもの」と「区役所で行うもの」の2つに分けて、それぞれまとめて済ませるのが効率的です。台東区にお住まいだった方の場合で一覧にしました。

手続き ⏰ 期限・目安 📍 窓口(台東区の場合)
年金受給権者死亡届・未支給年金の請求 厚生年金10日以内
国民年金14日以内
上野年金事務所(郵送・電子申請可)
国民健康保険の資格喪失・保険証類の返却 14日以内 区役所 国民健康保険課・区民事務所
後期高齢者医療(75歳以上)の手続き 喪失の届出は不要
(死亡届で自動処理)
葬祭費の申請は区役所2階15番窓口
介護保険被保険者証の返却 あわせて早めに 区役所 介護保険課
世帯主変更届 14日以内 区役所 戸籍住民サービス課・区民事務所
葬祭費・埋葬料の申請 葬祭費は2年以内
(忘れないうち早めに)
国保・後期高齢者は区役所
会社の健康保険は協会けんぽ支部など

💡 ポイント:死亡届(第2回で解説)を出すと、役所の中で自動的に処理される手続きもあります。台東区では、後期高齢者医療の資格喪失手続きは死亡届の提出に伴い自動的に行われるため、ご家族の届出は不要です(台東区)。ただし、葬祭費のように「申請しないと受け取れないお金」は自動では処理されません。この記事で確認していきましょう。

👴 死亡後の年金手続き:受給停止は厚生年金10日・国民年金14日以内

亡くなった方が年金を受け取っていた場合、最初に行うのが年金受給権者死亡届の提出です。期限は厚生年金は死亡後10日以内、国民年金は14日以内です(日本年金機構)。

ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、この死亡届は原則不要です(多くの方が該当します)。その場合でも、次に説明する未支給年金の請求は自動では行われないため、手続きが必要です。

📍 どこで:年金事務所(台東区の相談先は上野年金事務所〔池之端1-2-18〕)または街角の年金相談センター。郵送・電子申請も可能。対面相談は事前予約制です

いつまでに:厚生年金10日以内・国民年金14日以内(マイナンバー収録済みなら死亡届は原則不要)

🧾 何を持って:亡くなった方の年金証書、死亡を明らかにできる書類(戸籍抄本・住民票の除票・死亡診断書のコピーなど)

⚠️ 注意:手続きが遅れて年金が振り込まれ続けると、亡くなった月の翌月分以降は後で返還が必要になります。二度手間を防ぐためにも早めに連絡しましょう。なお、障害基礎年金・遺族基礎年金のみを受けていた方の死亡届の提出先は、年金事務所ではなく市区町村役場の国民年金窓口です(日本年金機構)。

💴 未支給年金:亡くなった月の分まで、遺族が受け取れます

年金は亡くなった月の分まで支給されますが、後払いの仕組みのため、まだ受け取っていない分(未支給年金)が必ずと言っていいほど発生します。これは、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族が、(1)配偶者(2)子(3)父母(4)孫(5)祖父母(6)兄弟姉妹(7)その他3親等内の親族、の順位で請求できます(日本年金機構)。

請求には「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を使い、年金証書、続柄が確認できる戸籍謄本(または法定相続情報一覧図の写し)、生計同一を示す住民票関係の書類、受取口座の通帳のコピーなどを添えます。請求には5年の時効がありますので、他の手続きとあわせて済ませてしまいましょう(日本年金機構「年金の時効」)。

💡 税理士の視点:未支給年金は、亡くなった方の相続財産ではなく、受け取った遺族の一時所得として扱われます。その年の一時所得の合計が50万円以下であれば確定申告は不要です(日本年金機構)。相続税の申告財産に含める必要はない一方、金額が大きい場合は受け取った方の所得税に関係する、という整理を覚えておくと安心です。

👪 遺族年金などを受け取れる場合があります

亡くなった方に生計を維持されていた一定の遺族がいる場合、遺族基礎年金・遺族厚生年金のほか、国民年金の独自給付である寡婦年金・死亡一時金を受け取れることがあります(日本年金機構)。要件は家族構成や加入状況により複雑なため、未支給年金の手続きの際に、年金事務所で受け取れる給付がないかまとめて確認するのがおすすめです。

🏥 健康保険の手続き:加入していた制度ごとに窓口が変わります

健康保険の手続きは、亡くなった方がどの医療保険に加入していたかで3パターンに分かれます。

💳 国民健康保険(自営業の方など・75歳未満)

資格喪失の届出を14日以内に行い、保険証類を返却します(台東区)。

📍 どこで:台東区役所 国民健康保険課資格係(2階12番)または区民事務所・同分室

いつまでに:死亡日から14日以内

🧾 何を持って:亡くなった方の国民健康保険の保険証類、窓口に行く方の本人確認書類・マイナンバーが確認できる書類

⚠️ 注意:亡くなった方が世帯主だった場合は、同じ世帯で国保に加入している他のご家族の保険証類も書き換えが必要になるため、あわせて持参してください(台東区)。なお、マイナ保険証への移行に伴い、お手元にあるのが従来の保険証か資格確認書かはご家庭により異なります。お手元の保険証類を持参し、窓口で確認しながら進めれば大丈夫です。

🌸 後期高齢者医療制度(原則75歳以上)

台東区では、死亡届を出せば資格喪失の手続きは自動的に行われ、ご家族の届出は不要です。保険証類の返却と、後述の葬祭費の申請を行いましょう。保険料は亡くなった月に応じて後日再計算され、納めすぎがあれば還付、不足があれば納付書が届きます(台東区)。年金からの天引き(特別徴収)の停止には2か月程度かかることがあり、精算は後から行われます。

🏢 会社の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)

在職中の方が亡くなった場合は、勤務先に連絡すれば、資格喪失の手続きは会社が行ってくれます。保険証・資格確認書(お持ちの場合)は会社経由で返却します(協会けんぽ)。扶養に入っていたご家族は健康保険の資格を失うため、ご自身の国民健康保険への加入手続きなどが別途必要になります(加入の届出も14日以内が目安です)。

💰 葬祭費7万円・埋葬料5万円:申請しないと受け取れません

ここからは「もらえるお金」の話です。健康保険からは、葬儀を行った方などに対して葬祭費・埋葬料が支給されます。いずれも申請が必要で、自動では振り込まれません

亡くなった方の保険 給付の名前 金額 📍 申請先・期限
国民健康保険 葬祭費(喪主に支給) 7万円(台東区) 区役所 国民健康保険課給付係
葬祭を行った日の翌日から2年以内
後期高齢者医療 葬祭費(葬儀を行った方に支給) 7万円 区役所 2階15番窓口(郵送可)
葬儀を行った日の翌日から2年以内
会社の健康保険
(協会けんぽの場合)
埋葬料(生計を維持されていた方に支給)
該当者がいなければ埋葬費(実費・上限5万円)
5万円 協会けんぽの都道府県支部
(申請書は郵送提出)
会社の健康保険の被扶養者 家族埋葬料(被保険者に支給) 5万円 同上

台東区の葬祭費の申請には、会葬礼状または葬儀費用の領収書(原本)と、喪主の本人確認書類・振込口座が分かるものなどが必要です(台東区)。第2回で「葬儀の書類は捨てずに保管しましょう」とお伝えしたのは、相続税の控除だけでなく、この申請でも使うためです。振り込みまでは2か月程度かかります。

💡 税理士の視点:受け取った葬祭費・埋葬料は、法律上「保険給付として支給を受けた金品」に税金を課すことはできないとされており、非課税です(国保法68条・健保法62条)。亡くなった方の財産でもないため、相続税の申告財産に含める必要もありません。安心して申請してください。

🏠 世帯主変更届と介護保険:区役所でまとめて済ませましょう

📄 世帯主変更届(14日以内)

亡くなった方が住民票上の世帯主で、同じ世帯に残るご家族が2人以上いる場合は、新しい世帯主を決めて14日以内に世帯主変更届(世帯変更届)を提出します(住民基本台帳法25条)。残るご家族が1人だけの場合は、その方が自動的に世帯主になるため届出は不要とされるのが一般的です(取扱いは窓口でご確認ください)。

📍 どこで:台東区役所 戸籍住民サービス課または区民事務所・同分室

いつまでに:変更があった日から14日以内

🧾 何を持って:届出人の本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)

🧓 介護保険被保険者証の返却

65歳以上の方や、40〜64歳で要介護認定を受けていた方は、介護保険被保険者証を区役所(台東区は介護保険課)に返却します。65歳以上の方の介護保険料は後日再計算され、通知が届きます(台東区)。国保や世帯主変更の手続きで区役所に行く際、あわせて済ませるとスムーズです。

✅ 死亡後14日以内にやることチェックリスト

この記事の内容を、実際に動く順番でチェックリストにしました。

  • 年金証書・保険証類・介護保険証・戸籍関係書類を1つのファイルにまとめる
  • 年金事務所に連絡し、死亡の届出の要否確認と未支給年金の請求をする(相談は事前予約)
  • 遺族年金・寡婦年金・死亡一時金を受け取れないか、あわせて確認する
  • 国民健康保険の資格喪失手続きと保険証類の返却(14日以内)
  • 介護保険被保険者証の返却
  • 世帯主変更届の提出(該当する場合・14日以内)
  • 葬祭費(7万円)または埋葬料(5万円)を申請する(会葬礼状・領収書を用意)
  • 在職中だった場合は勤務先に連絡し、健康保険の手続きを依頼する

❓ よくある質問

Q1. 手続きが14日を過ぎてしまいました。もう間に合いませんか?

A. 期限を過ぎても手続き自体はできますので、気づいた時点で早めに行いましょう。ただし、年金の停止が遅れて振り込まれた分は後で返還が必要になるほか、未支給年金や葬祭費・埋葬料の請求には時効(未支給年金は5年、葬祭費は2年)があります。放置するほど手間が増えるため、できるところから一つずつ進めてください。

Q2. 葬祭費と埋葬料は両方もらえますか?

A. 両方は受け取れません。亡くなった方が加入していた保険制度から、いずれか一方が支給されます。例えば、会社を退職して3か月以内に亡くなった場合など、以前の健康保険から埋葬料相当の給付を受けられるときは、国保の葬祭費は支給されません(台東区・協会けんぽ)。どちらに該当するか分からない場合は、窓口で加入状況を伝えて確認しましょう。

Q3. 亡くなる前の医療費が高額でした。戻ってくるお金はありますか?

A. 医療費の自己負担が一定額を超えた月がある場合、高額療養費の支給を申請できることがあります。亡くなった方の高額療養費は、後期高齢者医療制度では法定相続人が受け取るものとされ、申請書類は区役所などから送られてきます(台東区)。振り込みまで2か月程度かかります。また、亡くなった時点で未払いだった医療費は、相続税の計算で債務として差し引ける場合があります(債務控除・タックスアンサーNo.4126)。医療費の領収書や請求書は捨てずに保管しておきましょう。

📝 まとめ:年金事務所と区役所、2つの窓口でまとめて手続き

死亡後14日以内を目安とする手続きは数が多く見えますが、行き先は年金事務所(年金の停止・未支給年金)と区役所(健康保険・介護保険・世帯主変更・葬祭費)の2か所に集約されます。死亡診断書のコピーや戸籍関係の書類をひとまとめにして持ち歩けば、1〜2回の訪問で大半が片付きます。全体の流れは連載第1回「親が亡くなったらやることは?相続手続きの流れと期限一覧」を、全30回の目次は「相続税 完全ガイド」をご覧ください。次回・第4回は、多くのご家族が直面する「口座凍結と当面の生活費(預貯金の仮払い制度)」を解説します。


👤 監修者情報

公認会計士・税理士 鈴木佑也
鈴木佑也公認会計士税理士事務所(東京都台東区入谷)
相続税の申告・生前対策のほか、IPO支援・事業承継支援を行っています。

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本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別のご判断は税理士等の専門家にご相談ください。

参考(公的機関の情報)

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